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エール ~インタビュー~

大澤辰夫さんのんびり、週1ペースで仕事。ほどよい緊張感が若さの秘訣。よき恩師、よきお客様、よき上司、そしてよき同僚…さまざまなステージで忘れられない人々に巡り会い現在の自分がいる。そんな出会いに感謝する、自称“運のいい人生”を送ってきた大澤さん。人との繋がりを大切にする氏ならではの“第二の仕事”に迫ります。

きっかけは、高校教師の何気ない一言。
急成長する企業で経験値が格段にアップ


昭和17年に四国で生を受けた大澤さんが、もっとも大事な人生の岐路に立ったのは高校3年の時。就職活動の最中、「この会社は君に合っていると思うよ」という担任のひと言で、かつて在籍した大手証券会社に入社することになったといいます。


いつものゴルフ仲間と

■いつものゴルフ仲間と


大澤: 今でもつくづく感謝しているんですが、私は本当に運のいい人生なんです(笑)。世の中のことや会社のよしあしがわからなかった高校生の頃、 たまたま担任が勧めてくれたのがN証券。本当は別の会社に行くつもりだったんですが、試験を受けたら通ったので入社することになりました。そうしたら素晴らしい先輩に恵まれるし、高度経済成長期とあって会社は急成長。これはやっぱり「運」でしょう。N証券を勧めてくれた高校の先生は、今思い返しても素晴らしい人だったね。
 22歳で営業担当になって鹿児島に行ったのを皮切りに、宮崎、大阪、名古屋、千葉、大宮…と、42年間で13回転勤しました。いく先々で人に恵まれたんですが、それは僕の能力というよりN証券のお陰。時々の経営者が素晴らしい方々であったこともあり、会社の成長ぶりはすごかった。そんな状態ですからいいお客さんに恵まれて、いい経験ができますしね。当時のメンバーとは今でもしょっちゅう飲んでますよ、忙しく大変な時代を共に生きてきた仲間ですから。

定年10年前に本社に戻り、投資相談室を経て営業企画部という部署に異動。この時に培った人脈が、現在の仕事に活かされることとなります。


大澤: 投資相談室というのは、いわば、ベテラン社員との関わりのような仕事。ですから同世代やその前後2、3年の人を、たくさん知ることになるんです。組織に頼ることなく、自分のキャリアで営業できる、能力ある人ばかりがいる部署でした。彼らと知り合ったことが、今の仕事をするきっかけになりましたね。

求む、業務のスペシャリスト。
人脈を買われ、人と人を繋ぐ架け橋に


42年間、金融の最前線で厳しい仕事を続けてきた大澤さん。定年後はのんびりと隠居生活を楽しむつもりが、半年で仕事を再開させることになります。そのきっかけは、ある人物からの連絡でした――。


 退職後は仕事をやらないつもりだったんだよね。細々とだけれど生活には困らないし、ゆっくり趣味を楽しんで…と思っていたんです。半年間、雇用保険をもらいながらのんびりしていたんだけれど、人材紹介会社をやっている後輩から連絡がきたんです。「大澤さん、本社にいたからベテランの方を大勢知っているよね」と。僕のほうも、趣味ばかりでも時間を持て余すから…と、週に1、2回の約束で手伝い始めたのが、このヒューマン・リソーシス・コンサルティングという会社なんです。

■趣味の山登り

■趣味の山登り


定年後、ずっとやりたかったお遍路体験。奥さんと。

■定年後、ずっとやりたかったお遍路体験。奥さんと。


4年かかってバスツアーで回った末、ラストの札所にて。

■4年かかってバスツアーで回った末、ラストの札所にて。


 現社長の考えはしごく明快で、「これからは直接金融の時代がくるから、証券業務に詳しい人材があちこちで必要とされる」というもの。確かに、今は「貯蓄」から「投資」へと、世間の注目が移りつつありますよね。今までは証券会社だけが投資を推奨していましたが、これからは違う。銀行が投資信託を売り、郵便局が売り、と、窓口がどんどん広がっている。だからこそ、40年近く証券業務に携わってきて、身体も元気な人にそれまでの経験を生かしてほしいのだ、と言われたんです。そういう人は僕もたくさん知っているから、少しはお役に立つかもしれないな、と思ってヒューマンに入ることにしたんです。

 この会社のやり方も、とても堅実。宣伝をドーンと出して、大勢の人を集めて…なんてやり方はしないんです。自分たちが知っている人、その業務に本当に向く人だけを紹介したい、というのがポリシー。ひとつひとつ手作りしている感じかな。少数先鋭で、顔の見える人を新しく証券業務を初めた企業に送り込もうじゃないか、という点も気に入っています。

 みんな退職時は、これから第二の人生を歩むんだ、趣味に生きるんだって嬉々として辞めていきます。ところが、早い人だと3カ月くらいすると退屈になっちゃうんですよね。趣味に没頭できないの(笑)。僕もそうでしたよ。最初はゴルフに行ったり山登りしたり、四国のお遍路巡りをしたり。ゴルフなんて会社員時代は月に1回くらいしか行けなかったから、退職してしばらくはしょっちゅう行っていたんです。でも、そんなに色々やっても飽きてくるんだよね。僕も半年くらいでむずむずしてきた(笑)。少し世の中から遠ざかった感じがして、寂しくなってしまうんだよね。これは僕だけじゃなくて、昔の仲間も同じ。また仕事をしないかって電話すると、行ってみようかという人がかなり多いんですよ。仕事を紹介すると、喜んでもらえるんですね。

 そして、企業の側からも感謝していただけるんです。僕らも「この人なら」って目星をつけた人材をご紹介するから、確実に役に立つ。証券の仕事を40年もして、貯蓄から投資へという時代の流れですから、ちゃんと成果も出る。もちろん難しさもありますよ、銀行や郵便局は証券会社とは違いますし、同じ証券会社に移っても、会社ごとの社風は異なってきますから。でも、定年退職で一度は埋もれてしまった能力を、また有効に活用できるのは素晴らしいでしょう。受け入れる企業側にとっても、紹介する個人にとっても、双方に喜びをもたらす仕事だと思ってやっていますね。

遊び8割、仕事2割が好バランス。
仕事の刺激が、若さをキープする秘密かも。


仕事に真摯に取り組む大澤さんゆえ、現役時代を知る人からは「相変わらず一生懸命働いてるね」と言われることも。でも、実際には出社するのが週1~2回。あとの時間は趣味に没頭するというメリハリ生活が、大澤さんの元気の秘密のよう。


 うちの会社に大顧問のような存在の人がいるんですが、その人の口癖は「いい人材を、その人に合った所に紹介しようね」です。そうすればクチコミで広がるから、宣伝なんていらないんだ、というわけ。現在は求人も増えてきたし、証券ビジネス業界は現在特に人手不足です。ところが「定年後は絶対に仕事をしない」という人もいますから、人材は枯渇してしまう。さらに、現在は、どの証券会社も65歳まで定年を延長している。これまでのような「60歳定年退職」が減ってくるので、人材確保が難しくなる。それをどう乗り越えるかは今後の課題ですね。

 そんな中で僕がやってこれたのは、ひとえに運の強さのおかげ。定年前の数年間で、能力ある方々と大勢知り合えた。組織の中でチームプレイも出来るが、個人の力できちんとビジネスができる人ばかり。当時の僕はお酒を飲んでばかりで勉強しなかったんだけれど(笑)、その頃に知り合ったお客さんや先輩から多くのことを教わりました。なんでも見よう見まねでやってきたんですが、優秀な人に囲まれていたからできたんですよ。

近影

■近影


 今の時間の使い方は、仕事が1~2割、あとの8割が遊び。ずっと趣味ばかりだとボケちゃうから、たまにネクタイして銀座に出てくるんです。そうすると人に会えるでしょ。それがいい刺激になる。今の仕事にはノルマなんてないけれど、やはり人に会うのは緊張するよね。これが、若さを保つひとつの秘訣なんです。ちょっと周囲を見回してみても、働いている人と働いていない人では、働いている人のほうが若々しく見える。肌の色艶がいいんだよ(笑)。今のペースを崩さず、適度に人に会って刺激を受ける働き方を続けていきたいね。

プロフィール

有限会社 ヒューマン・リソーシス・コンサルティング

昭和17年生まれ。高校卒業後、大手証券会社に勤務。営業担当として各地に赴任し、その後投資相談室所属に。退職後はその頃の経験と人脈を請われ、人材紹介会社に入社。現在も自分のペースで仕事を継続中。

会社概要

有限会社 ヒューマン・リソーシス・コンサルティング

〒104-0061 東京都中央区銀座6-13-16 銀座ウォールビル9F インターウォーズ株式会社内

TEL:03-6226-5453

FAX:03-6226-5454

団塊ワーカーへの10の質問

あなたにとって仕事とは何ですか?
自分を鍛えるもの。また知識や生き方、考え方を教えてくれるもの。

定年前の仕事と現在の仕事は関係ありますか?
ある。

年齢を重ねた上で、新しい仕事を始めることの強みとは?
経験と人の繋がり。

仕事をする一番の理由は何ですか?
ボケ防止(笑)。自分の経験を生かしたいから。

現在の仕事はどうやって見つけましたか?
元の同僚に誘われて。

「定年後は仕事をしない」という選択肢も検討しましたか?
検討したが何もしないことに満足できなかった。

現在の仕事はいつまで続けるつもりですか?
元気で役に立てていられるうちは続けたい。

年齢を重ねていく上で、大変だと思うことは?
あまり無い。ただ、現役の時と同じ気持ちでやろうとすると負担になるので、自分の重荷にならないような仕事の仕方が大事だと思う。

現在、生活のハリとなっているのは何ですか?
始めて1年ほどになる楽器の趣味と、たまに仕事をやること。

これから定年を迎える人に、一言。
60歳代はまだ若い。自分の好きなことに挑戦してほしい。それまでの経験も生かしてほしい。